これは私が高校生の頃からずっと見てみたかった光景だ。

高校時代、公共交通機関のほとんどない田舎の町で育った私は遠出する手段がなく、また、遠出する資金もなく、ネットサーフィンをしてはまだ見ぬ廃墟に思いを馳せていた。

そんな中、いつか絶対に行ってみたい廃墟というのが二つあり、一つは廃墟の魅力に取り憑かれたきっかけである遊園地の廃墟、そしてもう一つはこの水面鏡の廃墟であった。

青い海と二つの青い空。

その美しい光景に私は心を奪われた。

ところが、高校生の私に一枚の写真からその廃墟の場所を特定することはできなかった。

でもどうしても行ってみたくて、もし誰かがこの場所に連れていってくれたなら、その人がバーコードハゲのおっさんでも、200キロ超えのデブでも、どんな相手でも好きになるだろうと思った。

「とっておきのところに連れていってあげるから、君は目をつむっていて」

そう言って私をあの場所に連れていってくれる人がいて、そこでプロポーズをされたらどんなに素敵だろうと思った。

どういう育ち方をしたら廃墟でプロポーズをされたいと願う女子高生が出来上がるのか分からないが、取り敢えずどうしてもあの光景を自分の目で見てみたかったのだ。

しかし高校卒業後数年が経ち、なんとなくあの廃墟の存在も頭の中から薄れていった。

そんな時、ツイッターのTLで見覚えのある光景を見つけ、高校時代の記憶と夢が呼び起こされた。

水面鏡の廃墟だ。

場所を特定するのは容易だった。

若干距離は遠いが、有名な廃墟らしい。

私は直ぐに行動を起こした。

ここに行かなきゃ、死んでも死に切れない!

…ということで来ました。


この螺旋階段で有名な廃墟らしい。


上から。


見晴らしがめちゃめちゃいい。

天気も晴れて良かった。
 

なんだろうこの形。


ペンギンみたいで可愛い。


この撮影、


結構怖かったりする。


ずっと見たかった光景。

結局、「とっておきのところ」に連れていってくれたのは自分自身だった。

目をつむっているだけじゃ、私には何も訪れないことに気付かされた。

欲しいもの、見たいものは自分の手で。


またね。