この後白い廃校を訪れるつもりだが、赤い工場の方に力を入れて撮影したかったので初めに工場の方へ向かった。

赤い工場と白い廃校をセットでまわるのは二回目で、前回は白い廃校の方を初めに訪れた。

なぜなら、赤い工場に入ると塗料が体中について大変なことになると噂で聞いていたからだ。

入念に塗料対策をして探索したのだが、準備の甲斐あってか思いの外被害は少なく、拍子抜けした覚えがある。

そのため、今回は赤い工場が先でも大丈夫だろう、と高を括り、意気揚々と踏み込んでいった。

後々後悔することになるとは知らず…。


赤い工場という名前から想像はついたと思うが、兎に角ここは真っ赤である。

私は赤色が一番好きなので、この工場はお気に入りの物件の一つだ。

蜘蛛にびくびくしながら三脚を盾に、足を踏み入れる。


一階は薄暗く、目が慣れるまで時間が掛かった。

前回三脚を持って来ず、撮影に苦労していたことを思い出す。


二階までの階段は本当に大変。

サビてぐらぐらするし、ところどころ階段が抜けている。

床も見るからに薄そうで、いつ落ちるか分かったものではない。
一歩一歩確認しながら進む。

柱や手摺につかまりながら歩くので、この時点で私の手は真っ赤になっていた。


可愛い…。


二階は床が脆そうで怖い。
既に抜けている部分もあるし…。

大人数で来たら落ちそう。

帰りも足場を確認しながら戻る。


体もカメラも三脚も真っ赤になった。

通りすがりのおじさんが異常者を見る目で私を見ていた。

この付近で殺人事件が起きたら真っ先に疑われるのは私だろう。

白い廃校を汚してはいけないので、機材を拭き、温泉に入った後移動する。