2016年07月

探索地図に「解体済み」と記してあったことが気になり、一ヶ月と少しぶりにこの寺を訪れた。

ところが、実際には前回と変わらないまま静かに寺は佇んでおり、また、これから解体されるような様子もなかったので一安心した。

今回も張り切って撮影に臨もうと思う。

田舎町の、更に奥の方へ進んだ所に寺はある。

緑に囲まれている場所なので、今回は蛇やらカエルやらブヨやら、とにかく多くの生き物が私を出迎えてくれた。

三脚で蜘蛛の巣を落としながら寺の奥に進む。

私はこの通り廃墟に一人で行くし、そこで怪我をしても「ははっ、床が抜けた」とヘラヘラしているので、よく男らしいと言われるが、一つだけ女の子らしいところがある。

虫が苦手なのだ。

とりわけ蜘蛛が苦手で、高校の頃は夏場自転車に蜘蛛の巣が一本かかっていただけでお父さんに泣きつく始末であった。

しかしこの頃は廃墟ばかり行っているので、蜘蛛に耐性がつきつつある。

人間、慣れとは怖いものだ。


メインはここ。

多くの位牌が保管されており、金色に輝いている。


沢山並んでいる位牌の一つ。


アルバムも残っていた。


隣の倉庫に入ると、お地蔵様のミニチュアが沢山並んでいる。

今回この倉庫には雑草が多過ぎて入れなかった(入る気力がなかった)ので、前回撮った写真をアップしたことをご了承頂きたい。



さて、きちんとした廃墟写真はここまでで、面白いのはここからだ。

倉庫を離れ、三階建ての建物の中に入る。


謎の吊り下げられたブラジャー。

「森杏菜@ピラティス検索♪」と書かれたタグがぶら下がっている。


奥の部屋へ進むと、益々狂気じみていた。
きちんと掃除されているようで、この部屋だけ廃墟らしくない。


賞味期限の新しいお供え物が恐ろしい。
定期的に誰かがここを訪れていることを伺わせる。


ここでも森杏菜。


私は訪れた廃墟が昔どんなところだったか、誰が住んでいたか、ということはあまり気にならず、無事写真が撮れさえすればいいという感じなので詳しくは調べていないものの、ここが霊感商法詐欺で解散になった宗教の寺だということは知っている。

森杏菜という人物は、この部屋の創作主に相当恨まれているようだが、恨まれた原因は詐欺事件と何か関係しているのだろうか。


ブラジャーを正面から写すため、高いところに登った。

体勢を崩せば四、五メートルを真っ逆さまなので、慎重に横移動する。

写真を撮りながら、このブラジャーを飾った人物と鉢合わせたらどうなるのだろうか、と考えを巡らせた。


そろそろ帰ろうとカメラの電源をオフにすると、廊下の影から人が現れ、私はどきりとした。

黒いパーカーを着、フードを深くかぶった若い男性だった。

彼は私を見てほくそ笑み、静かに近づいてきた。

私は何か言おうと思ったが、恐ろしさのあまり声が出なかった。
存在だけで相手を畏怖させるような、異様なオーラが彼からは滲み出ていた。

彼は、「僕が君をそこから突き落としたら、世間の人は君が殺されたことを疑うと思う?」と、尋ねた。

私が緊張し、何も答えられないでいると、彼は私の目の前で立ち止まり、言った。

「答えはね、疑わない、だよ。君は一人で廃墟に来て、そこから足を滑らせて死んだんだ」

細くつり上がった目と目線が合った瞬間、彼の手が伸びてきて、私の視界は回り、頭からそのままー--、


というサスペンス劇場を頭の中で繰り広げた後、身震いをし、この寺を後にした。

こんなに面白くて恐ろしい廃墟は滅多にない。

次回訪れた際も無事に帰還できることを祈る。


痛い…

今回は七百羽ものうさぎが生息する、離島の廃墟を訪れた。

この離島は戦前毒ガス島と呼ばれ、秘密裏に毒ガスが製造されてきた。

現在残っているうさぎは毒ガスの実験用に使われたうさぎの子孫だという噂もあったが、実際には実験で使われたうさぎは終戦後全て処分され、この島にうさぎはいなかった。

この七百羽のうさぎは、実は、島外の小学校で飼いきれずに放たれた八羽のうさぎから増えたものなのだそうだ。

たった八羽から七百羽にまで増えたというのも驚きだが、もう一つ不思議なことに、この島の生物調査を行なった大学によると、戦後毒ガスの処分のために島全体に大量のカルキがまかれ、うさぎ島は動物が生存できる環境ではなかったらしい。

それにも関わらず、放たれた八羽のうさぎは生き延び、多くの子孫を残した。


ここは、毒ガスを製造する際電気を供給していた発電所の廃墟だ。


うさちゃん発見。


君はもう自由だよ。


あちこちにうさぎがいる。

写真を撮るために立ち止まると、餌を求めて群がってきた。
無視しているとレンズをガジガジされる。可愛い。


夜もうさぎがいっぱいだ。

私は幽霊の存在を信じないけれど、暗闇は人並みに怖いので夜は廃墟に行かない。

しかし、ここはうさぎがあちこちで走り回っていて、暗闇の中でも心強かった。

ただ、ライトに向かって虫達が猛突進してくるのが怖いため長居はしない。


元気でね。


この別荘は木々に囲まれた場所にぽつんと寂しく佇んでいる。

道路横の小道を曲がると、オレンジ色屋根の二階建ての家が突如姿を現した。

白雪姫が辿りついた小人の家のような、アンティーク感漂う可愛らしい家だ。

夏に訪れると植物が鮮やかで綺麗だが、兎に角虫が多い。

大きな廃墟ではないので、ささっと撮影して帰ろうと思う。


ここは何度も訪れているが、どんどん損傷が激しくなっている印象を受ける。

一階の床は完全に崩れ落ち、今では歩くことも叶わない。

とは言え、私はこの廃墟は外観だけ撮れれば満足なので、二階を少し覗いた後撮影を終了する。

この家は、かつて地位の高い一族が住んでいたらしく、部屋にはエリザベス女王と一緒に写った男性の写真などが置き去りにされていたが、部屋の中が破茶滅茶で最早どこにいったのか分からなかった。

物が散乱していて歩くのも一苦労なので早々に二階を後にする。


最後に外観を撮影していると、付近で納涼祭の準備をしていたお兄さん達が、「ポケモンゴー?ポケモンゴー?」と言って近付いてきた。

私は任天堂のゲームが大好きだが、ポケモンゴーはダウンロードしていない。
なぜなら、ゲーム程時間を無駄にする行為はないと思うからだ。

ポケモンゴーを作った偉い人が、「家にこもってばかりいないで、ポケモンゴーを使って外の色々な世界を見てほしい…」と言っていたが、廃墟のために全国を飛び回っている私にとっては時間を無駄にするゲームでしかないだろう…。

取り敢えず、今後管理人に見つかり怒られることがあった場合、「夢中でポケモンゴーをやっていたら…ごめんなさい」と言って謝ろうと思う。


帰ります。

この遊園地を訪れるのは三回目だ。

一回目は新幹線、二回目は夜行バス、三回目は車。
いずれも日帰りである。

私は基本的に片道三時間以内なら歩くことにしている。
前回来た時は車がなかったので、駅から二時間弱歩いた。懐かしい。

春に来た時はちらちらと雪が舞っていて、時たま見かけるふきのとうが可愛らしく、楽しく向かうことができたが、夏の日は地獄である。

公共機関を使って訪れた人は、私のようにタクシー代をケチり、炎天下の中数時間歩くことはやめよう。


コンクリートの道を歩き続けると、唐突にカラフルな観覧車が顔を出す。

初めてこの観覧車を見た時の感動は忘れられない。
なぜなら、私が廃墟を好きになったのは廃墟の観覧車の写真を見たことがきっかけであり、廃遊園地の観覧車をこの目で見たのはその時が生まれて初めてだったからである。


夏は草がボウボウで遊具が若干埋もれていた。
私はいつもの如く生足で茂みの中を掻き分けていく。


お馬さん発見。


観覧車を撮影していたら一組の夫婦がスマホをパシャパシャしながら歩いてきた。

旦那「心霊とか好きなんですかっ!」

私「私そういうの信じてないです」

旦那「でもこれ、見てくださいよ!オバケみたいなのが写ってるんです(スマホで撮影した観覧車の写真を私に見せる)」

私「私ですね」


旦那さんすみません。私観覧車に登りました。

登れそうな場所を見つけるとついつい登ってしまうのは、私の悪い癖だ。

それにしても、よく見たら奥さん、胸が大きくて若くてセクシーだったなぁ。
奥さんじゃなくて愛人かもしれない。


二度と回ることのない遊具。


いい天気だね。


ここは私にとってどんな現役の遊園地よりも魅力的な場所だ。

このまま永遠にこの姿をとどめてくれることを祈る。


またね。

温泉で塗料を落とした後、白い廃校へ向かった。

事もなげに穴の空いたフェンスからささっと校内に侵入。

玄関に赤い工場の塗料が付着していた(私じゃないよ!)。

白い床に赤い塗料はかなり目立つので、赤い工場と白い廃校の両方に行く予定のある人は赤い工場を先に訪れるようにしよう。


二階はもわっとしていて更に暑かった。

それにしてもゴミ一つない、綺麗な廃墟だ。
誰かが定期的に掃除をしているのだろうか。


緑が生い茂っている。


今回は昼からのアタックだったが、朝日が差し込む時間に来るとオレンジ色の光が幻想的で、まるで天国へ続く階段のようだ。

ずっと綺麗なままの廃校であってほしいなぁ。

来週は廃遊園地へ行く。
お楽しみに。

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